S.M.S.L SU-2レビュー!USB非搭載DACの測定値と実力を解説
シンセンオーディオから新しいDACのS.M.S.L SU-2が発売されたので紹介します。SU-1のDACチップAK4493SからES9039Q2Mへ変更し、入出力端子の構成も変わり、特にXLRバランス出力が追加されたことで、バランス設計されたアンプとロスなく接続できるようになりました。

S.M.S.L SU-2の入出力機能
S.M.S.L SU-2の特徴の一つは、USB入力とUSB-DAC機能を省いている点です。現在、市販されているほとんどのDACにはUSB-DAC機能が搭載されています。PCに音源を保存し、DACへ直接送り込む方法は、音源の管理や操作という点では非常に便利です。しかし、音質を追求しようとすると、PCの性能やファンの騒音、再生に使用するアプリケーション、さらにはDACのドライバなど、音質に影響を与える要因が増えてしまいます。
一方、WiiMのような信頼性の高いストリーマーを使用すれば、PCを音楽再生の中心に据える必要がなくなり、よりシンプルな環境でCDを上回る音質を得ることができます。こうしたことを考えると、今後は搭載にコストがかかる一方で、ストリーマーの普及によって使用機会が減っていく可能性のあるUSB-DAC機能を省いたDACが、少しずつ増えていくのではないかと考えています。
- 同軸デジタル
- 光デジタル
- AES/EBU
- RCAアンバランス
- XLRバランス
USB入力はありませんがAES/EBU入力があります。これは業務用とされるデジタルデータの伝送に使われる端子です。近年では同じS.M.S.LのCDプレーヤーなどに採用され始めています。
XLR接続はRCAに比べてノイズ耐性が高いのですが、オーディオ製品で使う程度の長さだと違いがありません。ただ、アンプがXLRバランス入力を処理する回路だと、RCAアンバランスで入力された場合は変換回路を通ります。その変換作業で必ず音質が下がるというわけではありませんが、アンプ回路に合わせ他入力方法を選ぶほうが寄り高音質になる可能性が高くなります。
SU-2にはボリュームコントロール機能がありませんが、アンプにボリューム機能があれば使用に問題はありません。DACとアンプのどちらかに音量調整機のがあれば事足ります。
DACはデジタル入力をおすすめする理由
以前は、CDをリッピングした音楽データをPCに保存し、WindowsからUSBでDACに接続して音楽を聴いていました。ASIOやWASAPIなど、PCからDACへできるだけ余計な処理をさせない方法も試しましたが、音質を現在の100点満点として振り返ると、この環境は私の感覚では50点ほどでした。その後、OSをLinuxに変更すると、音質は少し向上したように感じましたが、それでも55点程度。どうしても音楽を心から楽しめるところまではいきませんでした。
そんなときに知ったのが、音楽再生専用OSの「Daphile」です。PCを音楽再生専用機として使うことで再生される音場が大きく変わり、今までスピーカーの間で小さくまとまっていた音が大きく広がり、その音質には本当に驚きました。私の感覚では95点。さらに「Volumio」も試してみましたが、こちらもDaphileと同等に良い音で、音楽を聴くことが楽しくなりました。
しかし、音楽再生専用OSを使っているうちに、PCの性能によって音の印象が変わるようにも感じました。高性能なPCではファンの動作音が気になり、ファンレスPCでは性能との両立が難しい。音質を追求すると、どうしてもPCそのものの存在が気になってしまいます。
そこで導入したのがWiiMでした。WiiMからデジタル信号をDACへ入力して聴いてみると、それまでの音はCDを再生したときのような「正確さ」が十分ではなかったのだと気付かされました。現在のWiiM+DACの音を100点とすると、これまでの環境との違いは非常に大きく感じます。
この経験から、私はUSB-DACをPCに直接つなぐよりも、WiiMのような専用ネットワークプレーヤーからデジタル信号をDACへ入力する方法をおすすめしたいと考えています。
S.M.S.L SU-2の測定値と評価
Audio Science Review(ASR)というオーディオ機器を測定するサイトでSU-2の測定値と評判を見てみます。SMSL SU-2 DAC Review (NTTY)
S.M.S.L SU-2は、ES9039Q2M DACの性能を十分に引き出した、非常に高性能なDACと評価できます。特にXLR出力では、1kHz・4Vrms時のSINADが122.8dB、最大出力付近の4.8Vrmsでは124dBに達しており、同じES9039Q2Mを搭載するDACの中でも非常に優れた測定結果です。RCA出力でもSINADは120.4dBを確保しており、バランス出力だけでなくアンバランス出力も十分に高性能です。
チャンネル間の出力差はXLR、RCAともにわずか0.01dBと極めて小さく、左右のバランスも良好です。また、AES、光、同軸の3系統のデジタル入力で測定結果に差がなく、入力方式による性能上の違いもほぼありません。ジッター測定でも問題は確認されず、電源由来のノイズも非常に少ないことが示されています。
周波数特性もほぼ完全にフラットで、音域による音量の変化はほとんどありません。また、デジタルフィルターには、音の変化を抑えながら不要な信号をしっかり除去する設定が採用されています。フィルターによる不要な成分は-110dB以下まで抑えられています。マルチトーン測定は20~22bitを超える非常に広い歪みのない領域を確保しており、クロストークも1kHzで-158dB、10kHzでも-136.6dBと極めて低い値です。さらに、非常に小さな信号まで正確に再現でき、-125dBFSという極めて小さなレベルまで高い精度を維持しています。
一方、デジタル信号が最大レベルを超えた際に対応できる余裕がなく、0dBFSを超える信号ではクリッピングが発生するという弱点があります。また、ES9039Q2Mのオートミュート機能により約-122dBFS以下でミュートされます。ただし通常の音楽再生で問題になる可能性はほぼなく、総合的には価格を考慮すると非常に完成度の高いDACと言えます。
最後に
S.M.S.L SU-2は、あえてUSB入力やボリューム機能を削ぎ落とすことで、高音質化と優れたコストパフォーマンスを両立させたDACです。WiiMなどのストリーマーや専用プレーヤーとデジタル接続し、XLRバランス出力でアンプへ直結するスタイルは、ノイズを極限まで抑えた純粋なサウンドをもたらします。ASRの測定値が証明するように、上位機に匹敵する圧倒的なスペックと高い信号再現性を手に入れられます。「PCを使わないシンプルで高音質な再生環境を構築したい」「アンプのバランス入力を活かしたい」という方に、SU-2は間違いなく最適な選択肢となるでしょう。圧倒的な音質性能を誇る本機で、ワンランク上の音楽体験をぜひ体感してみてください。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
